DJW理事長 ゲアハルト・ヴィースホイより
ドイツと日本における総選挙
ドイツの総選挙
ドイツのアンゲラ・メルケル首相の16年間の任期がまもなく終了し、日本の菅義偉首相も次期自民党総裁選および衆議院選挙での不出馬を表明するなど、ドイツと日本では政局が新たな局面に入ります。
2021年9月26日、ドイツでは第20回ドイツ連邦議会選挙が行われますが、ここ数週間でCDUの支持率が大幅に低下したため、これまで以上に先行きが不透明になっています。そのため、どの政党も25%以上の投票率を期待することはできません。政党間の分断が進んでいるため、選挙後の政権樹立は非常に困難であることがすでに予測されており、議会で過半数を占めるには3党連立に拠らざるを得ない、ということが明らかになりつつあります。
首相の座を巡る争い
さらに、16年に亘り任期を務め、国民からの人気が高く、国際的にも高い評価を得ているアンゲラ・メルケル首相が今次選挙にはもはや出馬しないという事実が、さらに混迷の度を深めています。その代わりに、CDUアルミン・ラシェット氏、SPDオラフ・ショルツ氏、緑の党アナレーナ・ベアボック氏が、有権者の支持を求め、首相の座を目指して激しく競い合っています。しかし、現時点では、9月末に誰が抜け出すかは全く不透明です。世論調査では、3つの政党がほぼ同数で、首相候補では、オラフ・ショルツ氏が2人の候補者を明確にリードしています。有権者の立場からは、ドイツを有望な未来に導き、国際政治の舞台で活躍する最適な候補として、ショルツ氏を最も信頼しているようです。
日本の衆議院選挙
「日出ずる国」においても、秋には衆議院選挙が行われ(総裁選は9月29日投開票実施、衆院選は現時点で正確な日程は未定)、菅首相はすでに退任を表明しています。しかし、ドイツとは対照的に、日本の政党政治のパワーバランスは、次の衆議院選挙によってもほとんど変化しないと思われます。つまり、現在政権の座にある自民党が再び政府のトップに留まることが予想され、継続性と安定性がかなりの部分で確保されることになります。
最終的に両国の政権が誰になろうとも、確実に言えることはこれまで良好な関係を築いてきた日独関係が影響を受けることはほとんどないだろう、ということです。両国の関係は今や政治、ビジネス、文化のあらゆるレベルで確固たるものとなっており、今次政権交代にあっても、スムーズに機能している相互交流の原動力が鈍ることはないであろう、と言えます。