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コラム(2021年11月)

DJW理事長 ゲアハルト・ヴィースホイより

気候変動への挑戦

2021-11-15, 09:05

G20から気候サミットへ - 重要なガイドラインで合意

ここ数週間、世界中の注目がスコットランドに向けられました。もっと正確に言えば、グラスゴーで開催される気候サミットの動向に注目が集まったのです。10月末にローマで開催されたG20諸国の最終コミュニケの結果には失望させられる状況であったため、気候変動対策に関するすべての希望は気候変動に関する世界環境保護会議に託されました。また、今回の会議では飛躍的な進歩となるような結果は得られなかったものの、200カ国は最終宣言で、2050年までに地球温暖化を産業革命前と比べて1.5℃に抑えるという目標を達成するための重要な指針に合意しました。拘束力はありませんが、気候ニュートラルの長期目標に加え、各国が早ければ10年以内に具体的なステップを踏み、その達成状況を定期的にモニタリングすることが求められています。また、2025年以降、温暖化防止のための資金を大幅に増やし、同時に開発途上国に移転支出という形で十分な資金と技術の支援を行うことを決定しています。それと並行して、化石エネルギー技術への資金の流れも徐々に封印することとなり、従来型エネルギー源としての石炭、石油、天然ガスの時代の終わりを告げることになります。

気候変動 - 各国が地球規模で共に解決することが必要

最終コミュニケでの宣言を踏まえて、2つのポイントが議論の余地のないものとして浮かび上がってきました。1つには、気候変動対策の目標は、皆で共同して達成するしかないということです。中国やインドのように、その他圧倒的多数の国と違って2060年、ないしは2070年になって初めて排出ガス実質ゼロを達成する目標としている国も含めて、ということです。気候変動のような地球規模の現象は、すべての国が協力して解決していかなければなりません。これに関連して不可欠となる2つ目のポイントとして、先進国は、数年前に計画されていたよりもはるかに迅速、かつ徹底的に発展途上国(インドや中国も含めて)のCO2排出量を削減するために、ありとあらゆる考え得る努力を尽くさなければならないということです。この点で、例えば予想外の出来事として米国と中国が温暖化防止のための協力関係を強化する合意を結んだ事や、ドイツが南アフリカの脱石炭を支援しようと考えている事は評価できると思います。

ファイナンスが果たす役割

気候変動対策に係る多くの事は資金に依存しています。したがって、気候変動の危機を解決するためには、ファイナンスが先駆的な役割を果たします。そんな中、ドイツはフランクフルトに新たな国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)を設立するという快挙を成し遂げました。ISSBは、国際財務報告基準財団の傘下に設立され、企業の持続可能性報告のための国際基準を策定することになっています。委員会は2022年初に作業を開始する予定です。これにより、金融センターたるフランクフルトは、持続可能な金融経済を築き上げるうえで先駆的な役割を果たすことになります。また、東京はISSBの第二席たる位置付けの1つを獲得する可能性もあります。全体的に見て、気候変動対策の成功に積極的に貢献するために、持続可能なファイナンスが世界中で注目されていることは良い兆候です。

ゲアハルト・ヴィースホイ(Gerhard Wiesheu)
B. Metzler seel. Sohn & Co. AG 代表取締役
DJW 理事長
info@djw.de
http://www.djw.de
ゲアハルト・ヴィースホイ(Gerhard Wiesheu)
B. Metzler seel. Sohn & Co. AG 代表取締役
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