DJW理事長 ゲアハルト・ヴィースホイより

ドイツのG7議長国就任:国際関係強化のチャンスか?

2022-01-17, 14:50

新しい年は、国際社会対して大きな挑戦を投げかける年となります。先進7カ国(G7)は、世界的な危機への対処を共同で調整していますが、実際現状において多くの危機が発生している状況です。2022年にはドイツが議長国を務めます。行動対処に向けてのプレッシャーは大きいものになります。今年、ドイツ政府はパートナー諸国とともに何をなしうるのでしょうか?

G7には、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、カナダ、アメリカ、そして日本が参加しております。欧州連合(EU)自体もオブザーバーの立場で参加しています。議長国は参加メンバー国間で毎年持ち回りとなります。2023年は日本がドイツの後を継ぐこととなり、2021年にはイギリスがG7の議長を務めました。ロシアは2014年のクリミア併合の際にメンバーを除外され、今のところ復帰の目途は立っておりません。それ以来、G7は、自由、法治国家、国際協力といった共通の価値感を守る国家間共同体として、その存在感を保つべく尽力してきました。G7グループはその他の国々にもその招待枠を拡げており、2021年にはインド、韓国、オーストラリアが対象に、2022年にはさらにアフリカや太平洋地域の国々が参加対象となる予定です。

国家間共同体が抱えるグローバルな課題

ドイツのオラフ・ショルツ首相は、本年6月26日から28日までバイエルン州のエルマウ城で開催されるG7首脳会議の議長を務めます。今回のG7サミットでは、テーマ的には、コロナ・パンデミックとの戦い、気候環境保護、景気回復、地政学的緊張、国際協力の強化等々、いずれもこの1年で顕在化してきた課題に焦点が当てられると思われます。どの解決目標も、各々個別に考えていては達成できないものばかりです。問題解決は、国家間共同体の精神に則り、共に考え、解決していかなければならないでしょう。なぜなら、アフリカ、アジア、その他の地域では、電気、清潔な水、ヘルスケア、教育等へのアクセスを待ち望む人々がまだ何百万人も存在するからです。この面において、先進諸国は発展途上国、新興諸国を進んで巻き込んでいくことが要請されているのです。これなくしては、パンデミックや気候変動に立ち向かうことは難しいからです。

また、地政学的な緊張も今年の課題のうちで主役になりそうです。何よりも、ロシアや中国にどう対処していくかという問題です。そのためには、国境を越えて橋渡しをしていく外交が必要です。世界的な緊張の時代だからこそ、共同と共通性を前面に押し出していくことが必要となるのです。この共通するものとは、例えば、ドイツと日本のような国と国の間には多く存在し、おそらく間違いなく他の国家間においても同様に見出せるものだと思います。

確かなことは、今年は多くのチャレンジとチャンスを内包しているということです。それを最大限活用できるかどうかは、私たち、および国際社会共同体次第だということです。

新年が皆様にとって健康で成功した年となりますようお祈り申し上げます。

ゲアハルト・ヴィースホイ

ゲアハルト・ヴィースホイ(Gerhard Wiesheu)
B. Metzler seel. Sohn & Co. AG 代表取締役
DJW 理事長
info@djw.de
http://www.djw.de
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