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欧州における健康食品の可能性

Natto 24 柴ありさ / レネ・ポール

発酵食品の世界的な広がり

2019-01-29, 10:01

突然ですが、発酵食品はお好きですか。

発酵食品といえば、腸内環境を整えながら食材の成分を分解し、また多様な栄養素も生まれるとして有名で、その美味しさだけでなく、食べやすく消化吸収される点からも近年世界中で様々な発酵食品が健康の為に食され、注目を集めています。麹菌を使った味噌やお醤油を始めとし、納豆菌を使用した納豆等の発酵食品が日本にはたくさんあり、ドイツを含める欧州にも、チーズやヨーグルト、ザワークラウトを始めとした様々な発酵食品が存在していますよね。

日本では、納豆や味噌等多くの人が知るものから、へしこやかんずりなど地域の食品までその数100種類以上の発酵食品が存在するとされており、恐らく世界でも有数の発酵食品大国といえるでしょう。日本人が長寿である理由も、発酵食品によるものではないかという研究も進められています。 

発酵食品は細菌や酵母、カビなどの微生物の働きによって作られるもので、例えば、チーズやヨーグルトは牛乳やヤギ乳を乳酸菌にて発酵させたもので、ザワークラウトにもキムチやピクルスのように乳酸菌が含まれています。この乳酸菌という成分は、便秘や肌荒れを引き起こす悪玉菌を抑制して、腸内環境を整え免疫力を高めてくれる効果があると言われています。特に乳酸菌と野菜との相性は良く、野菜に含まれる食物繊維が乳酸菌のエサになって増殖を助ける働きがあるとされており、日常的に多種類の発酵食品を食べていると、腸内の善玉菌が増えやすいというデータも発表されています。こういった、乳酸菌を使った漬物やヨーグルト・チーズ等では「腸内環境を整える乳酸菌が増える」特徴があるのに対し、粘りや臭いが強く、日本以外では未だ大ブームを起こすには至っていない納豆菌を使った納豆は、「成分が変化して栄養価が高くなる」ことが特徴です。 

一方で納豆の発酵過程では、その素となる大豆には存在していなかったビタミンK類・酵素・ナットウキナーゼを始めとした多様な栄養素が生成・増殖されます。納豆に含まれるビタミンK2は、骨のたんぱく質の質を良好に保つため、骨折が起こりにくい骨形成を行ってくれたり、怪我をした際に自然に血が固めるために必要なビタミンと言われております。その為、脳血管治療薬であるワーファリンを使用している人は、摂取に注意が必要ですが、面白いことに納豆菌から生成されるナットウキナーゼは血栓溶解作用(血液をサラサラにする)もあり、ドイツでは一部の私立病院でナットウキナーゼから出来たサプリメントを処方する所もあるそうです(納豆の効用については右図 Figure 1 ならびに当店のウェブサイトをご覧ください)。

納豆は、室町・平安時代から受け継がれる日本の大切な食文化の1つであり、流行の浮き沈みの激しい現代においても、人気が続いております。少し前はニオイや粘りが嫌われ、関西の方々は食すことのなかった納豆も、2018年2-10月におけるTrueData社による調査では、スーパーマーケットでの売上金額が前年同月比114%に至るとされ、今日の日本では醤油や味噌のように、一時的なブームを通り越し、大手を始め各企業製造のキャパオーバーをしているという状況です。悪天候による大豆価格の高騰や原油価格高騰による包材価格値上げの要請等に左右され、製造を辞めてしまった中小企業等も多くあります。2018年春頃より日本の納豆業界では大手が相次いで販売価格を引き上げました。それでもなお、売上は増加傾向にあります(Figure 2 参照)。

欧州の健康ブーム 

今日なお日本人に愛され続け、売上を伸ばし続ける納豆は、海を越え韓国、中国、日系移民の多いブラジルを始めとする中南米、そしてここ欧州にもやってきました。上述のように、日本でも納豆は健康のために摂取されている食材として有名で、少し古いデータにはなりますが、2006年に農林水産省がまとめた資料には、全国納豆協同組合連合会の調査によって納豆が1位を記録したとされています(Figure 3 参照)。

一方、欧州では空前のベジタリアン・ビーガンブームが起こっており、ドイツでも、ビーガン人口が2008年の8万人から2016年には130万人にまで膨れ上がったというデータが存在するほどです。BIO商品に関しては、デンマークに次ぎドイツでも生産・販売数・購入数共に増加の傾向にあり、より安全な食品や健康に良い食品を摂ろうとする人口が増えてきたといえます。ドイツでは、一般家庭でもBIO商品をこだわって購入する傾向があるかと存じます。

発祥地でも健康だと注目される食材は、当然ながら海外に渡っても健康を気にする人々から愛されていきます。発酵食品の代表格である醤油・味噌・キムチといった東アジアの食材は近年全世界でファンが付き、ここ欧州においてもアジア系レストラン数がこの10年間でかなり伸びたことから、様々なアジア料理を楽しめるようになりました。

家庭食としての日本食

アジア料理店として、お寿司屋さんやラーメン屋さんは定番となってきたものの、一汁三菜を基本とする“日本の家庭料理”への伸びしろはまだまだ残されています。

平成29年時点での日本からドイツへの輸入品目は主に緑茶・ラノリン・ソース類であり、実際にビジネスをしていてもアジアの発酵食品はまだまだ使い方・食べ方が分からない、美味しいと感じない人口が多いと感じることもあるものの、近年では所謂日本の定食屋や日本食材店が増えていることも考えると、この先はパートナーの一方が日本人でない、純ドイツ人家庭、または日系ではない移民の家庭にどのようにして日本食を家庭料理に組み込んでもらえるかを考えていく必要があります。 

これはアメリカの例ですが、日系以外の家庭では白米の上に納豆を掛けるような形ではなく、ピザ・納豆フムス・メキシカン納豆として食べられていることもあるようです。納豆とトマトの相性がとても良いため、海外では本来の白米×納豆の組み合わせよりも納豆×トマトや納豆×チーズ、納豆×アボカドといった変わり種の方が好まれる傾向にあり、更には日本人の中にもこのようにして食べるのが好きだと仰る方も実際にいらっしゃいます。

当店ではパン・パスタ・ハンバーグの具として混ぜてもらうようにペーストを開発しており、未だ味・素材の調整中のためHPには載せてはおりませんが、当店常連のお客様の内ご要望があった方にはお売りしております。このように、納豆の食べ方が多様化していることを見ても、納豆をはじめ発酵食品は料理の素材として私用され、今後どんどん料理の可能性が広がっていくかと思われます。こういった部分まで踏み込むことが出来、ドイツに日本の家庭料理が浸透していくことが出来れば、日本を更に身近に感じることが出来ると同時に健康志向の強い方々の需要も満たせ、ドイツへ来る日本人が増えることは勿論、日本に足を運ぶドイツ人も増えることで、食文化という側面から日独の関係は更に深まるように感じております。

 

出典・参考資料
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-35.pdf
https://vebu.de/veggie-fakten/entwicklung-in-zahlen/anzahl-veganer-und-vegetarier-in-deutschland/
https://www.boelw.de/fileadmin/user_upload/Dokumente/Zahlen_und_Fakten/Brosch%C3%BCre_2018/ZDF_2018_Inhalt_Web_Einzelseiten_kleiner.pdf
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_info/attach/pdf/zisseki-104.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/101/1/101_1_10/_pdf/-char/en
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/89/8/89_8_577/_pdf/-char/ja
http://www.maff.go.jp/j/study/daizu_gensanti/01/pdf/data1.pdf
https://www.excite.co.jp/news/article/E1522611415392/

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Figure 1: Natto Manga von Natto24 auf der Basis von Informationen aus Figure 1: Natto Manga von Natto24 auf der Basis von Informationen aus "Natto no Kairaku" von Takeo Koizumi
Figure 2: 納豆製造施設数と納豆販売額の推移(日刊経済通信社) Figure 2: 納豆製造施設数と納豆販売額の推移(日刊経済通信社)
Figure 3: 健康のために摂取している食材ベスト5(全国納豆共同組合連合会) Figure 3: 健康のために摂取している食材ベスト5(全国納豆共同組合連合会)
Rene Paul und Arisa Shiba Rene Paul und Arisa Shiba
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