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CCC-Neuro慢性炎症性神経疾患シャリテ-千葉共同研究ラボ 動作解析プロジェクト

千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学 講師 平野成樹

日独研究協力プロジェクト

2019-01-07, 10:32

2015年に千葉大学はシャリテ・ベルリン医科大学(ドイツ)に「千葉大学ベルリンオフィス」を設置し、両校間の学術研究交流や学生交換を推進しています。そのシャリテ・ベルリン医科大学内には、慢性炎症性神経疾患の研究者として世界的に有名なパウル教授が率いるラボがあり、NeuroCureユニットと呼ばれています。一方、私の所属する千葉大学大学院脳神経内科学教室は、慢性炎症性神経疾患のうち特に末梢性神経疾患研究における国際的第一人者である桑原教授が、国内外における多くの共同研究を牽引しているほか、森准教授は臨床および免疫学的なアプローチを用いて、代表的な中枢性炎症性神経疾患である「多発性硬化症」と「視神経脊髄炎」という病気の研究を精力的に行っています。この多発性硬化症は欧米において有病率が高いのに対して、視神経脊髄炎は日本で有病率が高いという日欧差があることが知られています。パウル教授と桑原教授の提案により、2017年にこれら慢性炎症性神経疾患の日本とドイツにおける差異を明らかにすることにより、それらの疾患の病態を解明することを目的として「CCC-Neuro」という名の共同ラボを立ち上げることとなりました(http://www.ccc-neuro.org/)。両校の特殊技術を用いて、双方向性にデータ共有システムを構築することで、比較研究を推進する予定で、既に数度の研究開発打ち合わせや報告会を両国で開催しています。

さらに2018年夏には、シャリテ・ベルリン医科大学の医工学大学院生のオッテさんが来日し、2か月間千葉大学に滞在しました。オッテさんは、赤外線カメラを用いて非侵襲的に撮影した動作を自動的に解析する「motognosis」というシステムのプログラム構築とその研究を行ってきており(http://motognosis.com/)、千葉大学において、motognosisのシステム移植、システム実施、解析を滞在中にご指導いただきました。今後、健常者および神経疾患患者の同システムを用いた解析を行うことによって、様々な神経疾患における動作の特徴および日本人とドイツ人の動作の差異を明らかにしていきたいと考えています。本システムは簡便であると同時に、既存の様々な動作プロトコルがあり、診断だけでなく、治療評価ツールとしても期待できます。このmotognosisを用いた研究も、前述したCCC-Neuroのプロジェクトの一部となっています。人的交流、研究システムの交換事業は時間や金銭的な負担という障壁もありますが、不断の研究資金獲得と情熱とでそれらを乗り越え、慢性炎症性神経疾患の病態解明と両国間関係促進の一つのプロトタイプにしたいと考えています。

© DarkoStojanovic / pixabay.com © DarkoStojanovic / pixabay.com
千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学 
講師
平野 成樹
千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学
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