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DJW副理事長 成川哲夫氏が横浜日独協会会長に就任

横浜日独協会会報"Der Hafen"より成川氏の就任挨拶

DJW理事会からのお知らせ

2021-09-14, 11:00

新会長就任挨拶

このたび5月29日に開催されました会員総会と理事会で、早瀬前会長の後任として、新たに会長に就任致しました成川です。就任に当たりまして一言ご挨拶を申し上げます。

前会長は、2010年10月の横浜日独協会の設立以降10年間、当協会を率いて発展させてこられました。前会長ほどのリーダーシップや実績を上げることができるかは甚だ不安ですが、役員、会員の皆様のご支援とご協力を得て、当協会のさらなる発展のために全力を尽くしたいと考えております。

当協会は設立以来、会員の皆様の多大なご尽力に支えられ、高校生の日独相互派遣、日独ユース・女性フォーラム等の日独交流、地域の中小企業へのドイツ企業関連セミナー開催等、様々な交流やイベントを実施してきました。また当協会は、昨年7月に、高い公益性を有する認定NPO法人として認証されました。寄付金の控除等も可能となる一方で、当協会には、多くの市民や企業と連携した安定した活動の継続が期待され求められております。

またグローバルな視点を持ち、日独関係の進展に貢献する人材育成も必要です。これからも、前会長のもとで築いて来られた、協力的な組織風土や良好なコミュニケーションを大切にしながら、ドイツ関係諸団体に止まらず、外部の各種団体・組織とのネットワークをさらに広げ、ダイバーシティや環境問題等への先進的な取り組みが進むドイツと、民間交流によりそのきずなを強め、相互信頼を深めて行きたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

ドイツとのつながり

終わりに、私自身のドイツとの関わり等、簡単に自己紹介をさせていただきます。小学生の後半から中高校生時代は広島で育ちました。当時は、同級生にまだ親が被爆者という人が何人もいました。日本は政治の季節であり、多くの生徒や学生が政治への関心と抵抗行動を起こした時代でした。そうした流れに翻弄され、悩みつつも、将来への展望は明確ではありませんでした。数学と英語が得意だったので何となく理系クラスへ進学するも、理系の科目にだんだん興味がなくなり、受験時に文系に転換、結果的には経済学部に進学しました。大学卒業時、日本は高度成長期の直中にあり、先輩に誘われ何となく銀行(日本興業銀行;現みずほ銀行)で働き始めました。

入行4年目に、自分の意志や希望とはさほど関係なく、突然ドイツでの研修を言い渡され、このことが以後の私の人生に大きな影響を与えることとなりました。渡独後程なくスイス現法設立準備のため、右も左もわからないままスイスの銀行に派遣されたのですが、当時の日本企業が、海外業務に於いてはいかにチャレンジングであったかの証左だと思います。現法設立を終えた後、日本に帰国し、審査部、国際本部を経て、85年に当時興銀がドイチェバンクと合弁で設立していたドイツ興銀に派遣されました。結果として、ドイツに3度、計12年間滞在し、欧州(含旧東欧・ソ連/ロシア)に関わる仕事を担当しました。

85年からのドイツ滞在時の最大の出来事は、1989年11月9日ベルリンの壁が崩壊したことです。前年の9月には、東西融合を訴えて西ベルリンでIMF・世銀総会が開催され、私も旧興銀の事務局として参加しましたが、その一年後に壁が無くなることを予測した者は誰一人としていませんでした。壁崩壊後の西独政府の対応は迅速で、3週間後には、悲願の東西ドイツ統合を発表、1990年10月にドイツが統一しました。

それと歩調を合わせて、EUの通貨統合や東欧諸国の民主化・市場経済化が急速に進展した訳ですが、当時このように速いスピードで、ドイツの統合が行われることは全く予想されていませんでした。旧西ドイツのリーダー達はその唯一とも言えるチャンスを的確に判断し掴んで実行したのです。

91年に日本に帰国、審査部や人事部を経て、97年に再度ドイツ興銀のトップとして派遣となりました。その時はすでに日本は急速に金融危機に向かっており、赴任中に旧興銀も合併することが決まり、統合作業に関わるため、2001年日本に呼び戻されました。統合に埋没し、ドイツとは縁が切れたままでしたが、2006年に不動産会社に転じ、その時から、再び日本企業とドイツ企業の連携を探ったり、ドイツでの不動産開発をトライする等、また再びドイツとのつながりが復活し、今に至っています。

子供達を現地校に通わせたこともあり、家族を含めたドイツという国との深い係わりから、自分の人生に多くの示唆を得ました。外に出ることによって、異なった価値観に触れ、許容し、一方でむしろ日本を見つめ直し、日本にいるときには若干の煩わしさすら感じていた「思いやり」「奥ゆかしさ」「恥の文化」をポジティブに見られるようになったと言えるのかもしれません。

DJW副理事長 成川哲夫氏 DJW副理事長 成川哲夫氏

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