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コラム(2018年10月)

DJW理事長 ゲアハルト・ヴィースホイ

EPAとBrexit がもたらす緊密な日独経済関係

2018-10-02, 12:56

本年7月に双方の首脳により署名された日EU経済連携協定(EPA)は現在、2019年の発効へ向け、欧州議会ならびに日本の国会での批准を待つばかりとなっています。協定の発効にともない、日本とEU間に、より強固な通商関係になくてはならない基盤が築かれることになります。 

日本企業は同協定発効を見越し、欧州ビジネスの拠点であり、付加価値を持つ生産拠点を置いてきたドイツに熱い視線を向けているように見受けられます。このことは、日本貿易振興機構(JETRO)の調査結果によれば、アンケートに回答した日本企業の何と62%が、今後1、2年の間にドイツでの事業を強化する計画であると答えていることからも明らかです。EUと英国の間の離脱交渉が行き詰まりを見せているだけに、英国のEU離脱(Brexit)を見越した動きであるとも言えましょう。現時点ではまだ様々な可能性が考えられるものの、企業としては、ただ手をこまねて英国が今後もEUに残留することを願っているわけにはいきません。ハード・ブレグジッドという考えうる限りの最悪の事態を想定し、それに備えなければなりません。 

他方、ドイツ企業も対日ビジネスを前向きに捉えています。在日ドイツ商工会議所(AHK Tokyo)が発表した「在日ドイツ企業景況調査:日本におけるドイツビジネス 2018」によれば、調査に回答したドイツ企業の87%が、ビジネスの高い安定性と信頼性を日本に拠点を置く理由に挙げており、また64%が第3国における日本企業との協力プロジェクトにまえ言及しています。加えて、回答企業の84%が日本市場のポテンシャルを評価していることが示されています。 

過去の経験からも、通商そして相互の投資におけるこのような上向きのトレンドが公式の統計に反映されるまでには、もう少し時間がかかるでしょう。しかし上述のアンケート調査結果からは、日独両国の企業が、双方の市場での事業拡大を意図していることが確かに読み取れます。そのことを鑑みれば、ドイツと日本が今後数年間にわたり、より緊密なパートナーとして共に成長していくだろうと考えてよいでしょう。v

 

 

ゲアハルト・ヴィースホイ(Gerhard Wiesheu)
B. Metzler seel. Sohn & Co. AG 代表取締役
DJW 理事長
info@djw.de
http://www.djw.de
ゲアハルト・ヴィースホイ(Gerhard Wiesheu)
B. Metzler seel. Sohn & Co. AG 代表取締役
DJW 理事長
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