DJW理事長 ゲアハルト・ヴィースホイより
G7サミット:戦争、依存、気候変動の狭間で
5月に開催されたG7サミットは、意図的に広島という歴史的な場所で行われました。広島は、第二次世界大戦中、原子爆弾の投下により、ほぼ完全に破壊された都市であり、今日、慰霊の地として、核戦争の恐ろしさを印象付ける場所となっています。現在、 ウクライナでの戦争やロシアの度重なる脅威によって、残念ながら核戦争の危険性は再び危機的なほど現実性を帯びたものになってしまいました。このような状況下において、G7諸国にとってはとりわけ、ウクライナの主権を守るための闘いを支援すること、そしてさらなるエスカレーションを防ぐことが何よりも重要な課題となっております。今回のサミットでは、G7諸国が示した堅い団結と、日本がウクライナ支援に大きく貢献したことが特に際立っていました。
東と西の依存関係
中国もまた、今回のG7サミットにおける重要なテーマの1つでした。中国と西側諸国との間に大きな相互依存関係があることに議論の余地はありません。中国の輸出は現在、中国経済を支える重要な柱となっています。昨年は約3.6兆ドル相当の財の輸出を行っていますが、2020年の2.6兆ドルから増加しています。一方、民主主義諸国陣営は、代替エネルギーへの転換分野で中国に依存している状況です。ソーラーシステムやバッテリー技術のバリューチェーンそのものが中国からもたらされているからです。興味深いことに、この両者の依存関係は、よく言われる「脱グローバル化」とは逆の現象が実際に観察されていることを示しています。
このような込み入った状況において、日本はアジアにおいて中国に対抗し得る潜在的な存在と見なされるようになってきています。実際、今年に入ってからの日本株の好パフォーマンスは、金融市場関係者が地政学的な変化が日本経済にポジティブな影響を与えると予想していることにも拠ると言えるでしょう。例えば、半導体大手のサムスンやTSMCは、すでに日本に新しいチップ工場を建設することを決定しています。欧州と米国は、今後数年間、日本が政治面・経済面でより強固になることを後押ししていくものと思われます。
気候変動への対応
地政学的なリスクや課題のほかに、気候変動ももちろんサミットの重要なテーマでした。G7は、地球温暖化を1.5℃以内に抑えるという目標を掲げているためです。大西洋での記録的な高気温や、今年カナダで発生した森林火災は、断固とした迅速な行動の必要性を改めて示しています。気候変動は、全世界レベルでの緊密な協力関係のもとでしか阻止することはできません。G7諸国は、この点で主導的な役割を担っています。ここにおいても、団結と緊密な協力が鍵となるのです。
