DJW理事長 ゲアハルト・ヴィースホイ
2026年の展望:ドイツと日本をいま経済的に結びつけるもの
2026年の見通しは、同時に進行するふたつの動きによって特徴づけられます。ひとつは地政学的な不確実性の高まり。もうひとつは投資と変革に対する圧力の増大であり、日独両国において具体的な実行が求められています。このような緊張状態にあって競争力を左右するのは、口約束ではなく、実際に実現されたプロジェクトや生産性を高めるイノベーションです。
2026年のドイツ:成長の機会はあれど、その前提条件は着実な実行
2026年のドイツにおいて中心となる問いは、投資を「行うか否か」ではなく、「いかに迅速かつ効果的に行うか」です。投資プログラムは、計画、許認可、発注、建設、運営という段階を経て、はじめてその効果があらわれます。そのため、実行に移す段階がボトルネックとなるのです。官僚主義の解消、手続きの迅速化、さらには透明性ある優先順位づけが、投資政策に対する信頼につながります。インフラと防衛分野への支出プログラムは、欧州全体にも波及する可能性のある、実体をともなう成長刺激策になり得ます。
2026年の日本:構造転換、生産性、産業主導のイノベーション
国際的な議論の場において、日本は古い「ナラティブ」、つまり過去のイメージで語られることが少なくありません。しかし実際には、ここ数年のあいだにコーポレートガバナンス(企業統治)ルールの強化や株主利益の重視など、市場経済改革が断行されてきました。それと同時に、長期にわたるデフレ期を経て、競争力のある労働コスト構造も形成されています。「コーポレート・ジャパン」は、明らかに変化を遂げているのです。
2026年について述べれば、日本が人口動態の変化にどのように対応していくかが特に重要な意味を持つと考えています。多くの投資家は、条件反射的に「人口減少=成長鈍化」と結びつけます。しかし日本は、この等式が必ずしも成り立たないことを示しています。自動化が高度に進められ、ロボットの投入密度も高く、生産プロセスにおける人工知能(AI)の活用も急速に拡大しています。
日独関係にとってこれらが意味すること
以上に鑑みれば、2026年の日独経済関係における明確な重点分野が浮き彫りとなります。AI投入の最大のレバレッジは、中期的には、消費者向けアプリケーションよりも、産業、研究、医療といったビジネス分野で発揮されると考えられます。ドイツと日本はまさに、これらの分野において強固な産業基盤を有しています。製品やプロセスのノウハウとAIとを組み合わせることで、効率性の向上、成長可能性の拡大、競争力の強化が可能となります。
その際重要になるのは、単一の「万能薬的」巨大プラットフォームではなく、専門的なソリューションであり、それらのソリューションを実際の生産および価値創出のプロセスに組み込んでいくことです。この点において、強力な産業エコシステム、高い品質基準、そして卓越したエンジニアリング能力を誇る日独両国には一日の長があると言えます。
信頼性と継続性という競争に影響する要因
日独経済関係の文脈においてつねに重視される観点に、「信頼」という価値があります。日本のビジネス文化においては伝統的に、家族、そして継続性が重要な役割を果たしてきました。顧客は信頼性、納得できる価値基盤、そして長期的な方向性を求めます。このような期待は、2026年、すなわち急速に変化する世界において、いっそう重要性を増していくことでしょう。
