DJW理事長 ゲアハルト・ヴィースホイより
ダボス会議:なぜドイツと日本が重要な役割を果たせるのか?
先月、世界経済フォーラム(WEF)がダボスで開催されました。ダボス会議では、経済界、市民社会、政治分野の専門家や代表者が、現在の世界的な問題について議論します。今年は100以上の政府、多くの国際機関、そしてWEFのパートナー企業が参加しました。
私もWEFに出席させて頂く栄誉を得ましたが、とても良い対話を経験することができました。世界経済フォーラムでは、国際的な危機や地政学的な課題と共にその解決策が議論のテーマとなりました。もちろん、そのどれもが簡単ではないにせよ、解決策は存在します。そして、我々がより多くの解決策を共に達成するためには、全てについてパートナーシップが鍵になります。
パートナーシップが焦点に
国家同志がより多くの安全と繁栄を生み出すためには、今後どのように協力していけばいいのでしょうか?これが今年のWEFが取り上げた大きな課題のひとつです。長きに亘って我々に強調的な方向性を指し示してきた地政学上の座標軸はその安定性が揺れ動き始めています。経済統合がより一層進めば、必然的に強靭な安全保障体制が構築される、という信念は残念ながら揺らいでいると言わざるを得ません。
国際的な危機は、「ジャスト・イン・タイム」に主眼を置いたサプライチェーンがいかに脆弱であるかを白日の下に晒しました。しかし今後、サプライチェーン再構築に際して我々が留意せねばならないのは、単にその復元可能性だけではありません。気候変動の影響も考慮に入れなければならないのです。先進工業国には、ここで果たすべき特別な役割があります。パイオニアとして、そしてパートナーとしての模範的役割を果たさねばならないのです。
ドイツと日本の緊密な結びつき
ここで、将来に向けて持続可能なパートナーシップの非常に良い例が、日本とドイツの緊密な関係にあると言えます。この緊密な結びつきを背景として、日独両国は、安定化、技術面、経済面での指導的推進力として欧州およびアジアにおいて極めて重要な役割を担うことが求められていると言えます。日独両国の経済は類似したところが多く、何よりも民主主義、自由、法治国家といった価値観を共有しています。このことは、共通の課題に断固とした決意で取り組む上で大きな力となります。
この面において、ビジネス・コミュニティたる私たちの日独産業協会は、様々な分野での両国のパートナーシップをさらに緊密なものにするために尽力しています。各種イベントや直接的な対話を通じて、私たちは交流とより深い相互理解の機会を創り、相互の結びつきの基盤を構築しています。