DJW理事メンバーDr. フォルカー・シュタンツェル氏とのインタビュー
DJW理事会からのお知らせ
DJWは、日独の経済・ビジネス関係における交流を深め、またその他あらゆる分野における連携を強化するという目標を、会員に皆様と会員の皆様によって選出された理事メンバーの献身と推進力によって達成することを目指して活動を行っています。経済・ビジネス分野で活動する非営利団体である私たちは、皆様からの豊富な経験と専門知識を蓄積し、経済、政治、学術の分野で安定したネットワークを形成しています。
インタビューシリーズ「DJW Insights」では、当協会のチーム、特別顧問、理事メンバーを紹介し、日独の文脈で活動することになった最初のきっかけや、当協会への活動への参加する理由、また当協会での活動を通して近い将来実現させたいアイデアなどを伺っています。
第二回目となる本企画では、DJW理事メンバーのDr. フォルカー・シュタンツェル氏とのインタビューをお届けします。同氏は2009年から2013年までドイツ連邦共和国大使館駐日大使を務められ、2018年からは独日協会連合会会長としてもご活躍中です。当協会には、2016年より理事メンバーとして様々な活動でご支援を頂いています。
2009年から2013年まで駐日ドイツ連邦共和国大使務められ、2016年よりDJW理事メンバー、2018年より独日協会連合会(VDJG)会長を務められるシュタンツェルさんですが、初めての日本との接点はどのようなものでしたか?
そうですね、とにかく大使としてではありませんでした。私はそれ以前に日本学を専攻しましたから。とはいえ、私が日本に関心を持ち始めたのは、もっと前に遡ります。私はティーンエイジャーの頃、広島と長崎に投下された原爆を受け、ヨーロッパやアメリカで起こった反核兵器運動に積極的に参加していました。つまり、私の日本への関心は最初から明らかに政治的な面でのもので、日本文化への魅力を感じたのはその後でしたが、それ以降ずっと魅了され続けてきました。
日本のどのような点に最も魅力を感じますか?
とても大まかに言うとすれば、その社会です。日本社会は何世紀にもわたり二つの重要な能力を培ってきたと言えます。一つ目はとてつもない問題にも対処することができる力で、これは2011年の三大災害を考えればわかると思いますが、共同体への損害が耐えられるものになるように取り組む社会であるということです。そして二つ目に日本社会は、他者、それも弱い立場の人々に対する基本的な配慮を特徴としています。これもまた必ずしも問題がないというわけではありませんが、つまり、日本社会は、地球上にあるその他の多くの社会よりも、内輪の問題を最小限に抑えることができる社会であるということです。そこから私たちが学べるかどうか、というのはまた別の話です。私たちもまた、数世紀以上にわたり現在の形に発展していった社会であるが故に、抜本的な変革の必要性を認識し、さらにそれを実行に移すのは尚のこと難しいのです。それは、現在私たちが経験している時代変化による結果を見ればわかることなのではないかと思います。
日本で大使をされていた際、どのようなところに日独間の文化的な相違点と共通点を感じられましたか?
これは大使として滞在していた時にとどまらないです。このような質問に答えるには、私が学生として滞在した時に実践することができたように、まずその社会にもっと深く入り込まなければならないと思います。とはいえ、そうしたからといって即断はすべきではないということにもすぐ気づくと思います。いずれにせよ、私が感じたのは、ドイツも日本も形は違えど自然を愛するという点が似ていること、そして相違点としては、日本で見られるような、奇抜なもの、珍しいものに対する寛容さや傾倒というものはドイツにはないということです。
少し個人的な質問になりますが、日本にいらっしゃった時、ドイツのどんなものが恋しいと感じましたか?またドイツに戻られてから日本について恋しいと感じたものはありましたか?
どちらもたくさんあります。まず、重要な案件の際もお互いに寛容に付き合っていくこと、「大目に見る」というような傾向がドイツにはあり、これが恋しいと思いました。そして、日本ではほぼいつでもどこでも受け入れられるような非常にゆったりとした人間関係がドイツにもあったらと感じることはあります。
ご自身から見て今後どのようなテーマが日独関係を形成していくと思いますか?
日本とドイツ両国は政治的にさらに親密さを増していくことになると思います。経済的な面でいえば、この政治的な接近と中国という要素を通じて、企業同士が、新しい形で有益な交流を行っていくというような状況になると考えています。
シュタンツェルさんは今でも日独関係促進にアクティブに携わるプレイヤーの一人でもあります。ご自身から見て日独関係強化のチャンスはどこにあるとお考えですか?
特定の問題が特に私たちを圧迫しているようなところ、そして、両国の社会が別々の方法でこれら問題解決に対するアプローチを試みているようなところにポテンシャルがあると言えます。これにより将来的な協働を共に模索する価値を見出すことができるからです。具体的には、高齢化社会、再生可能エネルギーへの転換、気候変動や生物圏保護といったグローバルレベルでの課題が例として挙げられると思います。
最後にDJW会員の皆様にメッセージをお願いします。
日独両国の文化や社会は、魅力的でかつ常に新しい側面を発見する機会を与えてくれます。皆様には是非積極的に関わってみてほしいと思います。職業の枠組みを超え、またデュッセルドルフや東京など、皆様がどこにいらっしゃるのかなども関係なく、是非両国のことや両国の人々のことを知っていただきたいと考えています。きっと驚きを体験し、それぞれの国の虜になることでしょう。是非その経験をお楽しみください。
2023年6月8日に本インタビューを行いました。ご多忙のところお時間をくださったDr. フォルカー・シュタンツェル氏にDJWチーム一同心より感謝申し上げます。
