DJWについて

倫理行動規範

当協会の自己理解

DJW活動に際しての共通の方向性を守るべく定めた行動規範

前文

現行の倫理行動規範は、日独産業協会(DJW)の業務の指針となる自主的な行動規範をまとめたものである。DJWは、そのネットワーク全体で理解されるべきものであり、全ての会員、DJW理事会、及びDJWチームがこれに含まれる。 DJW、その役員、職員及び会員(企業、機関及び個人)、並びにDJW内の様々なグループ(以下「メンバー」と総称する。)は、それぞれの積極的かつ自発的な活動と相互の貢献を通じて、日独間の懸け橋を築き、特に経済的観点から二国間交流を促進することを目指している。日独の二国間交流に加え、文化や法律の違いを考慮し、DJWは、メンバーが競争力を高め、ビジネスや商業活動において適切な利益を追求するための場を実際の対面、並びにオンラインにて提供している。また、環境を保護し、法令を遵守することは、DJWの活動の重要な指針であり、DJW及びそのメンバーは、日独両国における社会的ニーズに応えることを目指している。 両国間の文化的・法的相違を尊重し、DJWは、DJWメンバーのための倫理行動規範を制定した。倫理規範は、DJWの業務及びネットワークの中核をなすDJWの規則と密接に関連している。

本規範の適用

本倫理行動規範は、役職、階層、活動分野を問わず、すべてのDJWに従事する者、および会員を対象とする。本規範は、外部パートナーとの協力関係においても、DJWを代表して行動する全ての者、および当協会イベント参加者やゲストにも適用される。

本規範の理解

本倫理行動規範についての理解を徹底し、その原則を遵守することは、一人ひとりの責任である。

指導・助言の提供

DJWメンバーは、誠実さと職業倫理に関わる問題提起とそのオープンな議論が可能な文化の形成に全力で取り組んでいる。DJWは、DJWメンバー並びにその役員及び職員が本規範を理解し、倫理的ジレンマに直面した際に正しい決断を下せるよう手助けするための指導・助言及び支援を提供している。

誠実な報告に対する報復の否認

DJWメンバー並びにその役員及び職員は、本規範の違反に関する懸念や疑いがあれば、それを報告するよう奨励されている。DJW及びDJWメンバーは、誠実に行動規範の違反を報告したり、助言を求めたりした者が、報復や不利益を被ることがないことを保証する。

DJWの誠実さに係る文化と基本原則

DJWの誠実さの原則

我々は、倫理的な行動、公正さ、他者への尊重を信条としている。我々は、個人的な利益や恣意的な判断よりも、私たちの原則、適切な行動、プロ意識、会員の利益を尊重する。DJWやDJW会員の評判を落とすような接待・饗応は、一切行わないものとする。 この行動規範はDJW会員に求められる行動基準を明確にする原則とする。

信頼と誠実

信頼は我々の最も貴重な資産であり、ブランドと評判の基盤である。我々の誠実さは、メンバーやパートナーから信頼を得ており、何事においても、自分自身、メンバー、パートナー、同僚に対して誠実でなければならない。どんな状況でも、嘘や不正行為、誠実さの欠如を正当化することはできない。

法令遵守

我々は、我々が事業を展開する国で適用される全ての法律及び規制を遵守し、全てのパートナー及び業務提携先にも同様の遵守を求める。

中立性

我々は、組織の全体的な目的にかなう中立的なプラットフォームを提供することを約束する(定款を参照)。我々は、個人や政治的な利害関係から独立しており、すべてのメンバーは平等に扱われる。

説明責任

我々の作為及び不作為には結果が伴う。我々は、自らの選択に対する説明責任を負い、自らの行為について他者に責任を負わせない。

自身への正しい問いかけ

これから行おうとするいかなる行動についても、まず自身に対して以下を問いかけることとする。

  • 特定の行動方針が違法若しくは非倫理的かもしれない、又はDJWの基本原則や規則と矛盾していないだろうか。
  • 行おうとする行動又は取引には、正当な事業目的があるだろうか。
  • 行おうとする行動は、他者を危険にさらす可能性がないだろうか。
  • 行おうとする行動には、嘘や真実でないことが含まれていないだろうか。 
  • 自分の一連の行動が明日メディアで報道されたり、家族や友人の間で議論を呼ぶようなことにならないだろうか。
  • 行おうとする行動は、DJWやその評判を傷つける可能性がないだろうか。

行おうとする行動が上記のいずれかについて疑わしい場合は、助言を求め、決定を再考すべきである。

違反に対する不寛容

不正行為や規範の不遵守については真摯、かつ非常に深刻に受け止められる。本規範の違反は、いかに些細なものであったとしても、DJWの評判及びブランドを損なう可能性があり、容認されるものではない。本規範に違反した場合、最高でDJWの会員資格の停止又はDJWでの雇用の終了を含む制裁が下され、重大な違反については刑事訴追を受ける可能性がある。

反社会的勢力との関係断絶

メンバーは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力又は団体と関係を持たないよう、又はそれらを支援しないよう、常に注意を払うものとする。

助言を求めること、又は懸念を伝えること

本規範の趣意について疑義がある場合は、以下の連絡先を通じてDJW事務局宛に照会することとする。 compliance@djw.de DJWの理事会の知るところとなった本規範違反の疑念については、公正に調査される。適切な場合には、苦情を申し立てた又は報告を行った者に対し、調査結果に関するフィードバックが伝えられる。

利益相反

利益相反-一般

利益相反又は利益相反の発生可能性は、回避されなければならない。DJWのメンバー、理事会及び職員は、それぞれの専門的活動における独立性と客観性を達成及び維持するために、合理的な注意を払い、判断を下さなければならない。 利益相反は、役員又は職員が個人的利益を得る機会が生じることによって、その者の判断、客観性、独立性、又はDJWに対する忠誠が妨げられる可能性がある場合に生じる。 DJWの役職員又はメンバーの近親者若しくは親しい友人等がDJWと対立する活動や利害関係を有する場合も同様である。 利益相反は様々な形で生じる。例えば、DJWのメンバー並びに役員及び職員は、自身又は他者の独立性及び客観性を損なうことが合理的に予想されうる贈答品、利益、報酬又は対価を申し出たり、要求したり、又は受け取ったりしてはならない。疑義がある場合、メンバー又は職員は然るべき適切な助言を求めるべきである。

DJWの全ての責任の免除

メンバー間又はメンバーと第三者との間に紛争が生じた場合であっても、DJWは、当該紛争及びそれに起因するいかなる損害に対しても、責任を負わないものとする。また、DJWは、DJWの活動を通じて提供されるサービス、情報、助言等の内容の正確性については、これを保証しない。

贈収賄及び腐敗行為

贈収賄及び腐敗行為

DJWは、事業を展開する国において、いかなる形式であれ贈収賄又は腐敗行為を行わず、当該国の適用される全ての法令を遵守する。 DJWに影響を及ぼす事項について、メンバー、政府又は行政の決定に不適切な影響を与えようとするものと解釈されるような行為は避けなければならない。DJWが能動的であれ受動的であれ、賄賂の誘惑に影響されやすいとみなされるような状況は避けなければならない。 賄賂とは、金銭を指すだけでなく、金銭以外の物品、又は贈答品、利益、接待、寄付、歓待などの価値のあるものを指すこともある。

贈答品及び接待-一般原則

不適切な利益がビジネス上の意思決定に不適切な影響を与えるか、又は不適切な影響を及ぼすように見える場合には、不適切な利益を提供したり、又はそれを受け入れたりしてはならない。

DJW及びそのメンバーは、見返りにビジネスを獲得又は保持する意図をもって、いかなる個人又は組織との間でも、直接であれ間接的であれ、何らかの形式の不正な利益を供与する、供与することを約束する、求める、又は受け入れることを許可されない。不正な利益には、違法リベート、賄賂、キックバック、裏金などが含まれる。不正な利益とは、支払、贈答品、歓待(食事を含む。)、接待、旅費、又は偽の契約など、価値のあるものを意味するが、これらに限定されない。 贈答品、歓待、及び接待は、通常の取引関係において通常行われる常識的な範囲を超えてはならない。DJW又はそのメンバーの評判を損なうおそれのある接待は、いかなる形式であれ避けなければならない。以下のルールは、DJWメンバーに期待される行動基準を明確にしたものである。

慈善的寄付

DJWが慈善団体に寄付する場合、又はDJWが事業を展開しているコミュニティの非営利プログラムに直接投資する場合(自然災害後の緊急援助活動への支援、又は、教育、医療若しくは研究への出資やそれに類する非営利の投資を含む。)は、DJWの経営陣の書面による事前承認が必要となる。

ロビー活動

DJWとして、透明性、公平性、誠実性、事実に基づく情報開示の原則に基づき、価値ある利害関係を代表する代弁者を求めることに意義を認める。この理由により、2022年2月にドイツ連邦議会のロビー名簿に登録することを決定した。 連邦政治に接触することで、日独関係を促進し、二国間の相互理解を深めることを目的としている。連邦政治レベルへのロビー活動は、経済的、社会的、学術的な視点だけでなく、例えばDJWのイベントにおけるテーマに関連し、事実に基づいた政治的な視点からの貢献を期して開始されるものである。

独占禁止法

DJWメンバーは、競争的かつ公正な市場慣行を用いて事業を行っている。DJWメンバーは、市場の廉潔性を尊重し、競合他社を不当に事業から撤退させたり、不公正な取引条件をビジネスパートナーに受け入れさせたりすることを意図した違法行為を拒否している。DJWメンバーは、自己が事業を展開している市場の公正性を損ねたり又は不適切な影響を与えたりすることについて競合他社との間で示し合わせる、または合意してはならない。 具体的には、DJWメンバーは、カルテルにおいて競合他社と共謀したり、他のDJWメンバーとの間で価格設定、マーケティング及び事業計画、苦情、契約条件、購入若しくは入札計画、市場割当、販売地域若しくは顧客の分割、又はその他個々の会社の運営における競争法上問題となり得る事項について協議や情報交換を行ったりしない。各メンバーは、かかる事項の協議を行うことのないよう、疑わしい場合は直ちにはっきりと拒否することを申し出なければならない。 DJWメンバーは、自己のサービス及び能力について欺瞞的又は誤解を招くような方法で宣伝することはなく、競合他社について中傷したり、又は虚偽の主張を行わない。

DJWメンバーは、違法又は非倫理的な手段を用いて、競合他社の秘密情報を取得しない。 競合していないように取り繕う行為も避けなければならない。 また、独占禁止法を慎重に遵守するために、機密性の高いビジネスデータを競合他社とやり取りしてはならない。全てのDJWメンバーは、独占禁止法の規則を厳格に遵守し、これに従って役員及び職員を育成する。 適用される独占禁止法に違反した場合は、関係する企業及び個人に対する重い罰金等の制裁を受け、将来の事業を損失し、評判を落とす可能性がある。競争を規制する法律は複雑であり、法域によって異なる。

マネーロンダリング及び財務記録の完全性

DJW及びDJWメンバーは、国内外の会計規則及び適用される法令を遵守することを約束する。DJWの財務諸表等の記録に記載された情報は、真実かつ公正で、適時に公表され、かつ正確でなければならない。全ての取引は、適切かつ正確に記録されなければならず、帳簿記載内容は、善意の当事者が発行した適切な文書によって裏付けられていなければならない。 DJWは、財務諸表等の記録の質を確保すべく、マネーロンダリングを一切容認しない姿勢を取っている。 「マネーロンダリング」は、不正資金を隠匿したり、不正資金の出所を合法であるかのように見せかけたりするために、財務諸表等の記録を操作することで生じる。 支払、請求書、及びその他の取引を厳密に監視することにより、マネーロンダリングは阻止することができる。不審な若しくは疑わしい支払、支払請求書、又は金融取引は、DJWの理事会に報告するものとする。DJWの出納監査は、DJW年次総会に関連して行われる。出納監査役職は、DJWの規約に従い、会員選挙によって2年間の期間にて選定される。

メンバー間の関係、雇用関係

差別の禁止

全てのDJWの役員及び職員は、自己の業務に関連する技能、資格、行動、及び実績のみに基づいて処遇及び評価されなければならない。 DJWは、雇用関係のあらゆる側面について、民族、肌の色、性別、宗教、政治信条、労働組合員であるか否か、国籍、性的指向、社会的身分、年齢、又は障害の有無を問わず、資格、地位、経験、能力、及び機会均等の原則に基づいて判断している。これらの基準に基づいて差別することは容認されない。

いじめ及びいかなる差別、ハラスメント

DJWは、互いに尊重し合う職場を実現するために、あらゆる形態の虐待、嫌がらせ、及びいじめと闘っており、安全と相互尊重を首是とする職場の実現に取り組んでいる。

歓迎されない性的な誘いかけ、性的な行為の要求、又は不適切な身体的接触は容認されない。全てのDJWメンバーは、同僚並びに役員及び職員に敬意を払うことが求められている。 自分が嫌がらせを受けていると考える者、又は嫌がらせが行われていると考える者は、マネージャー、監督者、雇用主、及び/又はDJWの理事会のいずれかに問題となる行為を直ちに報告しなければならない。

データプライバシー及び秘密保持

DJW及びDJWメンバーは、あらゆる種類の機密情報及び個人データを尊重かつ保護し、また秘密の保持、開示及び不正使用から保護するために適切な措置を講じる。 DJWメンバーは、個人データのプライバシー及び機密性を尊重する。DJWは、DJWメンバー、DJW職員及びDJWパートナーの個人データの収集及び処理を実施するに際しては、について、事業の効果的な運営のため、又は法的要件を遵守するために必要な範囲に限定する。 DJWメンバーは、DJWの情報及び同僚の個人データの機密保持を遵守、DJWの財務実績、投資、戦略、計画、又は顧客に関する機密情報を開示したり、第三者と協議したりしてはならない。この義務は、会員資格の終了後も継続する。 DJWは、DJWメンバーによるもしくはDJWメンバー間で行われる、本規範を厳守したデータ若しくは情報の収集、処理、保存、共有、又は転送について一切責任を負わない。個人データ又は機密性の高い個人データを含む記録は、必要な保存期間を超えて保存することができない。 DJWは、不正なデータアクセス及び流布を防止し、データの完全性及び可用性を保つために、関連するデータ保護の法律を確実に遵守し、技術的及び組織的に適切な措置を講じる。

法令遵守

DJW及びそのメンバーは、事業を展開する国の適用法令を遵守しなければならない。DJWメンバーは、DJWに適用される規則とメンバー個人に適用される規則を把握しておく必要がある。これらの規則は、複雑になりがちで、DJW及びそのメンバーが事業を展開する国によって異なる場合もある。疑義がある場合、メンバーは、助言を求めるべきである。法律を知らないことは言い訳にはならない。 本規範又はDJWの方針が、適用法令で義務付けられた基準よりも厳しい基準を課している場合、DJW及びそのメンバーは、より厳格な基準に従わなければならない。本規範と適用法令との間の矛盾の解決に関して疑義が生じた場合、メンバーは、助言を求めるべきである。 DJWメンバーは、DJWに関する照会に関連して規制機関又は政府関係者から連絡を受ける場合がある。情報又は文書について例外的な要請があった場合、メンバーは、DJWの法務担当者に助言を求めなければならない。いかなる状況であれ、DJWの代理を務める者は、合法的な調査に際し、誤解を与えたり、証拠を隠蔽したり、文書を破棄したり、又はこれを妨害してはならない。

保有資産及び資源の利用

保有資産、資金及び秘密情報の保護

DJWの資産、資金、及び秘密情報を保護することは最も重要である。DJW及びそのメンバーは、自己が管理する会社の資産、資金、及び秘密情報を十分な注意を払って保護し、使用する義務を負っている。個人の利益のために、又は外部の者のために業務を遂行するためにDJWの資産、資金、及び秘密情報を利用することはできない。 DJWにて実施される会議・催しにて議論された内容は基本的に機密事項として扱われるDJWメンバー、又はDJWの役員若しくは職員は、いかなる一方的な発表も行わず、第三者との会議を通じて取得した会議の内容又は秘密情報を開示しない。

調達

請負業者、コンサルタント、フリーランサー、合弁パートナー、代理人、下請業者、及びDJWの代理又は代表を務める者からの物品及びサービスの購入を担当するDJWメンバーの役員及び職員は、サプライヤーの品質と評判を十分考慮した上で、提供され得る同質のサービスにおいて最も高い評価がなされるものを確保することだけを目的に、自己の業務を遂行しなければならない。必要な場合には、選定に先立って、競合他社からの相見積もりによるオファーを求めなければならない。DJWは、個入的な好みではなく、品質、ニーズ、性能、及び費用に基づいてサプライヤー及びその他のパートナーを選定する。サプライヤー、パートナー、又はDJWへのサービスの提供を希望する者に対して、いかなる個人的な便宜を要求することは厳重に禁じられている。

知的財産権

DJW及びそのメンバーは、自己の知的財産を保護し、他者の知的財産を尊重することを約束する。知的財産法は、特許、商標、規制データ、著作権、企業秘密、ドメイン名、及びこれらに関連する権利を保護する。 DJWメンバーは、業務の過程において、またその革新力によって、価値あるアイデア、サービス、ビジネスプロセス、及び戦略を生み出している。このような知的財産は、流布及び悪用されないよう保護されなければならない。 DJWの知的財産は、工程、設計、方法、運営手順、営業、及びマーケティング戦略などの様々な形態をとることができ、これらを意図した目的以外で開示、複製、又は使用してはならない。 DJWメンバーは、パートナー又は第三者の知的財産権に同程度の注意を払うものとし、これを故意に侵害してはならない。ライセンスを受けていないソフトウェアの使用、著作権付き資料の無許可での使用若しくは複製、又は有効な特許権の故意による侵害は禁止されている。

承認の必要性

いかなる者も、DJWの理事会の書面による事前承認なしに、DJWのロゴ又は名称を使用し、DJWの名称でイベントを開催し、又はその他の方法を取ることによって何らかの形でDJWと関わっている、若しくはDJWを代表しているとの印象を与えてはならない。

報告

DJWメンバーは、本規範及び適用される法令又は規則に抵触する疑義がある場合、DJWの理事会に速やかに報告することを強く求められている。違反は容認されず、DJWの会員資格の停止を含む制裁の対象となる。

実施

この「倫理行動規範」は、DJW会員とともに作成し、関係者全員が参加できる合同会議で議論し、ドイツと日本の専門弁護士の支援を受けて最終的に完成させたものである。2022年5月9日にDJWの総会にて理事会、および理事会会長によって明示的に承認された。

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