日本経済の再生に向けて

全世界を混乱の極みに陥れたコロナ・ウクライナの混沌と戦乱を経て2023年は非常に厳しい試練に直面し新たな世界秩序を模索する年となりました。

世界が直面している試練としては、

1. コロナ対策による全世界的な巨額財政支出実施と資源・エネルギー、食糧価格高騰に起因する物価上昇
2. インフレ対策としての欧米諸国での金融引締め、それに伴うスタグフレーション懸念
3. ゼロコロナ後の中国経済の不振と世界経済への影響
4. 米国と中国の覇権争いに伴う世界経済の「デカップリング（分断）」と現存サプライチェーンの危機

といった内容が挙げられるかと思います。

このような厳しい世界情勢を背景に翻って日本社会・経済の現状に目を向けると、残念ながらバブル崩壊以降30年に亘って継続する経済停滞から未だ抜け出せず、重く漂う閉塞感と共に日々の生活に追い立てられている、というのが多くの日本人の実感ではないでしょうか？長引くデフレ下での停滞に昨今の急激な円安が加わり、国内総生産（GDP）世界第3位という地位も、今年中にはドイツに抜かれる可能性が大です。社会における自己の生活地位が「中流より下」と感じる人の割合は6割にも達しており、かつて「一億総中流」と言われた日本社会は大きく変貌しています。

冒頭に挙げた世界が直面する試練に加え、今日の日本は下記のような難題にも直面しており、その克服への道のりは非常に厳しいものである、と言わざるを得ません。

• 顕著な人口減少・少子化への対応
• 賃金・所得水準の継続的上昇による経済成長への好循環達成
• 食料・エネルギーの過度な輸入依存、超金融緩和策継続による円安とインフレ懸念
• 人的投資、労働移動による労働意欲と満足感向上への好循環達成
• サプライチェーン再構築のあり方

今年6月以降、日本の株価はバブル期に次ぐ高値を記録していますが、これは日本経済復調の兆しと言えるのでしょうか？そう願わずにいられませんが、一方で前述のどの課題も構造的な根深い問題であり、相互に複雑に絡み合っているため、根本的な解決はなかなか容易ではありません。 

一方、ドイツはこのような世界情勢に対処するため、単に国防・安全保障分野に限った協力関係の強化だけではなく、民主主義と自由貿易を基盤とする価値観を共有出来、かつ信頼できるパートナーとして日本との包括的連携を強化する方向に舵を切っています。オラフ・ショルツ首相は昨年春の就任以降、既に3回の訪日を実現させております。

これは日本の将来にとって希望の道標となるのでしょうか？

間違いなく言えることは、日本社会の内側でのみ呻吟していてもなかなか解決策は見出しにくく、広く海外の知見を取入れ、グローバルな視点を持った海外の識者の意見に傾聴する、という姿勢が求められる、ということかと存じます。 

本年も、日独産業協会理事長ゲアハルト・ヴィースホイ氏とジャーナリストの赤川省吾氏がこの難しい課題について語り合います。

挨拶の言葉

河原節子 在デュッセルドルフ日本国総領事

ディスカッション

• ゲアハルト・ヴィースホイ：B.メッツラー・ゼール・ゾーン& Co. AGの代表取締役社長、また、2011年から当協会理事長を務める。同氏は日独経済・産業界連携に係る第一人者として、数年来ドイツ政府の対日経済・産業政策に係るアドバイザーとしての役割を担う。2022年4月末の独オラフ・ショルツ首相の初回訪日、2022年11月のシュタインマイヤー連邦大統領訪日に加え、直近では2023年3月のショルツ首相2回目訪日にも同行。
• 赤川 省吾：日本経済新聞社欧州総局⻑、また、日独双方の社会・経済の動向を⻑年に亘り鋭く見つめてきたジャーナリスト。
• モデレーション：立川 雅和、デュッセルドルフ日本商工会議所事務総長

プログラム

11:00 – 入場、参加者登録、ネットワーキング
11:30 – DJW、アンネ・ポムゼルより開会
11:40 – パネルディスカッション
12:30 – 参加者とのQ&A
12:45 – パネルディスカッション終了, ネットワーキング, 軽いお食事とお寿司
13:30 – イベント終了                                        

主催 

日独産業協会 (DJW)

共催

在デュッセルドルフ日本商工会議所
独立行政法人日本貿易振興機構（ジェトロ）
フランクフルト日本法人会

使用言語

日本語

参加費

共催パートナーのジェトロと在デュッセルドルフ日本商工会議所のサポートにより、会員・非会員を問わず無料でご参加いただけることとなりました。是非奮ってお申込みください。

お問い合わせ

日独産業協会(DJW)
アンネ・ポムゼル
事務局長
events@djw.de

Impressions Spot On! (Düsseldorf, 11.10.2023)